医師になってまず気付いたこと
国家試験に合格し、内科の医師になってからまず気付いたことは、患者さんが病院で訴える症状は性格や不安により彩られている!ということ。 学生時代、まず低学年の基礎医学で解剖とか体の仕組み、生理学、薬理学などを学びます。その後臨床医学で病気の特徴や特徴的な検査所見を勉強し、次に症状から患者さんの所見をとり、病気を疑い検査をして診断することを学んできました。しかし現場で実際の患者さんを診察するときには、個人の性格の影響や、不安や心配によって訴え方がいろいろで、座学で学んだようにこの症状ならこうだと一直線に診断治療に勧めません。どこまでが病気の症状でどこからが不安でプラスアルファされている症状なのかと(特に怖そうな人とか)よく迷ってました。30年以上やってきた今では自分自身も年を重ねたことで、怖そうな人の対処や、不安が強い人に安心するような言葉をタイミング良くかけながら診察していくことにはかなり慣れたと思います。
それから、『風邪』の診療はとても難しいということ。「はい風邪ですね。風邪薬お出ししましょう。2~3日で直りますよ。」なんてことは決して言えません。風邪症状で病院に来ても全然薬などいらないレベルの人から、風邪と思ったら肺炎だったとか全然他の病気だったということはやはりあるからです。今でも毎回慎重です。
あと、明らかに生活習慣改善で病気が改善するはずなのに(お酒やめるとか、お菓子やめるとか)できない人がなんと多いことか!!なぜ、どうして?許せない!と若いときはずっと思ってました。でもそこまで含めての病気なのです。ご本人が納得してその気になって実践してもらうため、説明する努力を私たちは続けなくてはいけません。