忘れられない,透析になった患者さんたち
楽しんで研修資料作成中
2023のGW、私は混雑と関係ない日々を送っています。
製薬会社から依頼された社内研修の講習の準備中。
2年くらい前まではこうゆう依頼、速攻で断っていたことでしょうね。人前で話すとか、教えるとか絶対イヤだし(何しろ学校の先生嫌い)ネタもないと思っていました。
今は楽しみながら資料を作っています
30数年前に出会った患者さん
糖尿病の薬に関する話題。その仕事をやりながら30数年前、研修医1年目に出会った患者さんの事をありありと思い出しました。
Aさんは70代の男性、歯医者さんでした。長年糖尿病で血糖値が高く、腎臓が悪くなり慢性腎不全で透析目前となり入院になった方。
実は新人の医者にとってベテランの医療従事者はとても厄介。人生経験、臨床経験もかないませんから。
私はAさんにいろいろ説明してもなかなかわかってもらえず、Aさんからは馬鹿にされているような感覚を持っていました。
入院してすぐに不整脈の発作や血圧の変動、腎機能のさらなる悪化があり、貧血もひどくて大変でした。
夜中に抗不整脈薬の注射、輸血、カテーテルを入れて透析開始・・・
勿論研修医の私が全てやったわけではなく、上司の指導Drに相談したり、やってもらったりですが。
[因みに腎機能が低下すると必ず貧血が起ります(腎性貧血)腎臓は尿を作るだけでなくいろいろな働
きがあり、造血ホルモンを作ることも大事な働きの一つ。このため腎機能が低下していくと徐々に貧血
も起ります。昔は腎性貧血で輸血が必要になってました。今は造血ホルモンを補充する注射がありで輸
血をすることはないです。最近は腎性貧血の飲み薬も出ています。当時は注射剤がまだ出始めた頃でA
さんは入院まで使われていませんでした。]
透析開始後もしばらくは体が慣れずにひどい倦怠感が続きます。
そして退院して外来で週3回の血液透析に通うことになりました。
Bさんは50歳台、男性。電気屋さんだったと記憶しています。
やはり糖尿病で腎臓が悪くなり、まだ透析目前まではいってませんが、尿蛋白が多くて、全身のむくみがひどくなって心不全にもなり入院していました。
なかなか改善せずに結構長く入院していました。退院しても食事療法ができないためにまたすぐむくみがひどくなり入院してきます。仕事はほとんどできません。
私が別の病院に移動して間もなく、透析治療が開始になったと聞いています。
あの時は必死でした。頑張ってました。
正直に言います。AさんもBさんも当時の私には「言うことを聞かない、困った患者さん」という認識でした。
Aさんは長年毎日お酒を飲んでいっぱい食べて運動もしない生活が続き、腎臓が悪くなるのも自業自得。
Bさんは塩分やカロリーの制限ができないから、すぐに悪くなる。自制できないのが悪い。
と思ってました。
(そしてこんな人たちのために私は迷惑だとも!いやはや・・・)
今もそのように思うこともなくはないのですが・・・
思い出して今感じること
30年以上の時を経て
Aさん、Bさんを思い出して改めて感じることは
「若くて頼りない私をよく主治医として見てくれていたなあ」
「人間、完璧な食事療法ってやっぱり簡単にはできないよな」
「仕事などで疲れて、ストレスがあってお酒や甘い物が唯一の楽しみというのもわかる」
「糖尿病が悪いと腎不全になって苦しむなんて知らなかったんだよな」
「AさんもBさんも体のきつさもひどくて仕事ややりたいことができない不安やストレスはどれほど大きかったことか」
「30年以上も前には糖尿病の薬も今のように種類もなくて糖尿病のコントロールはやろうと思っても難しかったなあ」
「新人を指導してくれる先輩Drの存在は有り難かったな」
などと思います
時代も
自分の意識も変わっていきます。
糖尿病で腎臓が悪くなることもかなり予防できる様になってきました!
そして何よりも思うことは
「いろいろな患者さんとの出会いのお陰で今の私がある」
ということ!!
そして今も周りのスタッフや
自分の健康に恵まれていることは
とても有り難い!!
だからこそ、まだ頑張っていけるし
連休明けも面白がって仕事をしたいと思うのです。
もちろんいっぱい遊びますよ !!