心臓が良くなった!ミラクルおばあさん
糖尿病と狭心症と・・・
今日はミラクルおばあさん、C子さんのことを書きます
C子さんは88歳、50歳台の息子さんと二人暮らし。家事一切やっています。
糖尿病で注射治療中、他にたくさんの合併症・併存症があります。
足は閉塞性動脈硬化症で何度も手術をしていますし、左足の小指は壊疽で切断術を受けています。
脳梗塞の既往はありますが麻痺は残ってはいません。
3年前は「胸が苦しい」といって受診され、狭心症で総合病院に入院したこともあります。心臓を栄養する3本の血管が高度に狭窄して、心臓の機能が低下、心不全を起こしていました。ステントを何カ所かにいれて心臓の血管を広げる治療をして、利尿薬など心臓の薬を今も内服しています。
おそらく糖尿病や動脈硬化の影響でしょう、腎機能も少し低下しています。
持病は色々あるものの、C子さんはとても活気があり、声もしっかりしていて毎月歩いて(杖も使わず)診察室に入って来られます。
独身の頃はバスガイドをしていた、(当時は華やかな職業だったのでしょう)若い頃離婚して子供二人を育てたと聞いています。
私はこの方が来ると「今月もお変わりなく、来てくれた」とほっとします。血糖値や血圧は今はとても安定しています。
何と心機能が!!
今回2年半ぶりに心臓の超音波検査をしました。この検査では心臓がきちんと動いているか、壁の厚み、心臓弁膜症はないか、心機能などがわかります。
もともと心機能は低下しているし、いっぱい血管疾患になっている人が88歳にもなっているしどうかなーとちょっと気になっていました。
ところが心機能は改善していました。
収縮能を表す駆出率(一回心拍出量の心室拡張末期容積に対する割合で正常値は50~80%)は以前が30%とだいぶ低下していましたが、今回は55%と改善。心臓の壁の運動は心臓の先の方はほとんど動いていない状態でしたが今回は一部に少しだけ動きが悪い程度、なんと心臓の壁の薄くなっていたところも改善していました。日常生活には全く支障ない状態と言えます。
検査をしてくださった技師さんも、循環器のDrもびっくり
他の(結構ベテランの)Drにこの改善具合をみせたらみんな「えーこんなことあるの?」
という反応です。
心臓が良くなった理由とは?
一体何が良かったのか
血糖値が安定しているからなのか
そのために使っている薬が良かったのか(ちなみにこの方の糖尿病治療薬はGLP-1受容体作動薬のトルリシティという注射です)
心臓の保護のために使っているいくつかの薬が効いているのか
わかりません。
でも治療をしても少しずつ悪化する方も多い中
この方がここまで改善したのは
「だれにも家事はやらせない、自分で全部やります」というような心意気が生きかた全般にも表れて回復を後押ししている気がしています。
私にもお裾分け
C子さんは毎回「先生も元気でいてよ、また会いましょうね」と私のことも気遣って診察室を後にします。
そんな大先輩との出会いに励まされます。